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蔵王ダムルート: 山岳スキーの危険性

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安達太良山 矢筈ノ森直下   ・撮影者 嶋津

蔵王ダムの湖岸道トラバースという雪崩の危険性が高いこのルートはよく山スキーの方が利用されているのですが、私は以前から「危険だ」と発言している一人です。蔵王ダムの湖岸道は春先も含めて雪崩やデブリの斜面で普通に歩ける状態(道)ではありません。下山にこのコースを使うパーティが結構いるので事故が起きることを心配していました。この際申し上げておきます。



さてと、以前に起きた山スキー事故のケース。林間で転倒した骨折事故。楽しいはずのスキー滑降が暗転するほどの山スキー事故の怖さのケースです。リンク先の記事を読んで「セルフレスキュー」との兼ね合いでリーダー「判断」について自分の経験を述べたいと思います。

じつはYMCAでも焼石山頂の下りで肩脱臼の事故を起こしていました。ソリを組んだが滑らず、荷が重く、脱臼した本人は終いには自力で歩くと言う、地形はツブ沼の平坦地系で下山にまるまる一日かかったことを思い出しました。

パーティは10人ほどで、前日は雪洞訓練(泊)だった。山頂9時、昨夜の余ったワインを開けて(滑りに影響しない少量です)乾杯し、これから滑るぞ!という矢先の事故でした。山頂直下の斜面はアイスバーンと吹き溜まりとが交互に現われる難しい状態。心理を探れば様々のウィークポイントが炙り出されてきます。山スキーの楽しさだけをイメージしていたパーティだからこそ起こった事故ともいえます。先ず滑りだす前に「無理をしない安全な滑走」「無事故の帰着」「雪質の特徴と今日の滑り方」を確認すべきでした。これは携帯電話が普及していない、電波のサービス圏が狭かった時代の話なので尚更重要です。今の時代なら救助ヘリを「迷うことなく」呼んでいたことでしょう。



その日、泉水沼-姥石平付近ではスノーモビルが走りまわっていたというケースでした。救助要請を依頼しようかどうか迷いました。でも日頃からスノーモビルの山域進入に反対している我々がそれに頼って搬送依頼することへの矛盾に直面し悩みました。たまたま事故者は両脚はなんともないということと、セルフレスキューを主張するリーダーと合理的なモ-ビル利用を提案した会員とで意見が分かれましたが「何処へ下ろす?搬送先は?その連絡方法は?」「誰がつきそう?」「パーティの分割」など様々な条件で類推して、最終的にリーダー判断に統一されたことは非常に良い経験となりました。

彼のぶれないリーダーシップの下、パーティ再編がなされ曳く人 担ぐ人に分けられ、40mザイル、ブルーシート、2mm針金、ペンチ、5mmヒモなど共同装備がどんどん出てきて遭難対策訓練通りに「ソリ」が組まれた。ただ 平滑なツブ沼コースなので銀名水小屋付近からツブ沼キャンプ場まで緩い斜面をレスキュー・ソリで下ろすというのは想像以上に辛く、とてつもなく長いロードでした。リーダーが先頭に立って地形を読んで下山ルートを指示し各員がソリを曳くわけですが、ちょっとした傾きでも負傷者は苦痛を強いられます。曳く方も20分も体力がもちません。

こういう状況を強いられるのが山岳事故なのです。山スキーを軽く見てはいけません。「楽しさ追求が事故のリスクを覆い隠す」それが山スキーであることに注意点をおいて、計画とパーティは組まれるべきだと思います。山岳スキーに参加させる、パーティに組み入れるには条件を厳しくすべきと思います。 ゲレンデスキーがやっとできる程度では 安易にやって欲しくない!厳しい条件をですね。

例えば、、、止まらなかったら転べばいい! などと転ぶ怖さも知らぬ無責任な冗談も出るようなら「資格欠如」と思ったほうがいいです。スキーが上手いことを理由にパーティの上位にその安易な発言の人が位置するのはとても危険です。たとえジョークでも!です。上手いからと言ってリーダーの資質があるとは限りませんし、その点からも疑問な「リーダー不在パーティ」が見受けられるんじゃないでしょうか?

ワイワイガヤガヤが先行するパーティは窮地に陥ると途端に崩壊します。総合的な判断力、各員の状況に合わせられる眼力、最善のルート観察・熟察、危険回避能力、疲労度など滑る前に各員の力量 状態を点検しないと・・・とかく山スキーの楽しいイメージが先行しがちなので強くブレーキをかけないといけません。

私などはこの事故以来、初参加者の前で大袈裟に転倒するようにしました。山ではイントラらしくカッコ良く滑ろうなどとは思いません。逆にスキーの怖さ・下手さ加減を披露しておきますw。さらにパーティの技量を見て、先頭か最後尾のどちらかにポジショニングします。レベルの高いパーティの時は先頭につきスピードをコントロールしますし、未熟者がいる場合、その直前にいるか 監視の意味でも最後尾につきます。

山は危険なところ! この意識を忘れずに安全第一でいきましょう。
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Commented by HITOIKI at 2015-01-29 23:19 x
リンクを含め、考えさせられる内容でした。ここで思ったことは「自己責任」ということです。他人の援助を受けないといっても、家族や同僚には必ず心配をかけます。それなら最小限の援助ですむように適切に助けをたのんだほうがいいように思います。助けられ易いように自分のプライドはすてる。今日世界を揺るがせている誘拐を思うにつけ、他人ごとではないと恐ろしくなりました。
Commented by torasan-819 at 2015-01-30 03:05
山スキーは機動力があって足を延ばせる反面、その分リスクも高まりますがそのことを重々認識していないと、いざというときにより痛い目を見ることになってしまいますね。
私も山スキーでは蔵王ダムの件も含め、これまで数々のヒヤリハットを経験しましたが、気が付かないまま危険の脇を素通りしていたことも数知れずあったのではと思っています。山スキーは(沢登りもそうですが)やればやるほど怖さが分かってきますので、気心の知れたメンバーでパーティーを組みたくなります。というかそうでないとセルフレスキューもままならない訳ですし。
救助要請するかセルフレスキューで頑張るかは状況次第でしょうが、山ヤの端くれとしてはセルフレスキューにもこだわりたい訳でして、その辺の「見切り」が難しい部分かと思ってます。負傷者の負担が軽いことが前提ですが、一晩ビバークしても翌日十分下山可能であればそれも選択肢ですよね。
さて蔵王ダムコースですが、急斜面をトラバースしている湖岸道は雪崩れるんですよね。でも再トライしてみたいと思っている自分は大バカモノでしょうか(^^ゞ
Commented by tabi-syashin at 2015-01-30 09:08
HITOIKIさん 
皆さんも一様にプライドはお持ちなんですよ。それが「邪魔する」、それを「捨てる」というのはプライドに見合っていない技術力とか能力の劣りがあるからですね。遭難のTVニュースを見て ああだこうだと思うのですが 誰しも同じ状況じゃないわけです。伝統という重い荷を継ぐ山岳会もあれば、リベンジという個人も緊急ビバークの中にはいるでしょうから・・・一概ではないわけです。それは理解してやってください。上でtorasanがコメントしてるように、「山ヤの端くれ」という山ヤには最後の砦とでもいう「気概」があるんです。冒険と危険の違いを「山ヤのプライド」として表現してるんだと思います。山ヤの冒険は無謀とは違います、それこそ自己責任でのチャレンジです。相当の状況熟知と判断能力があれば 「クリアできる問題」でもあるんですね。

宗教問題の国に武器で一丁儲けてやろうと言葉も通じぬ男がのこのこ出かけても誰も同情はしません。それこそ自己責任ですね。ただ状況的に関わった者なら「何とかしてあげたい」と思うのも人情です。それがどこまで通じる国、相手なのかは分かりません それは宗教戦争なので恐ろしいことですが ジャーナリストの「端くれ」に対する連帯応援は世界をまたいでヨルダンに注がれているのは間違いない事実ですね。
Commented by tabi-syashin at 2015-01-30 09:27
torasan 八方沢コース いってらっしゃい。
くれぐれも「楽だったな」などと笑いながら言わないように(爆)

やはり事故は緩斜面でおきますね。急斜面であれば避けれたものを緩斜面ですと 腰を曲げたり足を捻ったりして意識的に曲げようとするので軸に捻じれが生じて骨折事故になってしまいます。スキー学校のレッスンでも緩斜面で骨折が多いのですよ、蔵王といえど午後の湿雪気味の斜面ではなおさら注意が必要です。これでスピードがあれば いやいや栂池やサラサラの粉雪だったら おそらく折れてはいなかったと思います。

南会津の黒谷川の激流・濁流を横目に川岸をえんえんと歩けば 頭がおかしくなります。それに奥只見湖や田子倉ダムは湖岸道は急斜面になりそのまま湖水までまっしぐらです。道路の路面が地表に露出っするのは6月ですので。怖いですよ~湖岸道の切れ落ちる斜面は・・・。
Commented by tabi-syashin at 2015-02-05 16:36 x
HITOIKIさん 
上での自己責任に対するコメントですが 権力の世論操作によって僕のコメントは権力の期待するっ予定調和の中に組み込まれた意見だったのかもしれないと思うようになりました。

どういうことかというと・・・「当ブログの2月1日の記事」の最後に追記した文章があります。その先を辿って行くと意外な事実に行きつきます。つまり世論操作された世間と 全く違う思惑が生まれてくるということです。

そちらにも目を通してみてください。
Commented by HITOIKI at 2015-02-06 21:02 x
意外な展開になって、さらに恐ろしさを感じ入っております。自己責任と軽々しくいうものではない、とは今も思いますが。それは言わされた言葉だったとすれば、それを言わせた闇が、すべては私の責任であるというのだろうか。責任という言葉に対するうさん臭さ、その言葉によって振り回されてはならないと感じます。責任をとれないこともある、との言動のほうが誠実のように思いました。
Commented by tabi-syashin at 2015-02-06 23:00
外務省の職員 大使館員、外務省外郭独法に努める後藤さんの妻たちが救出の筋書きを描いていたのは11月だった。それに対し 政府筋がアメリカ寄りのコメント(取引は決してしない)を出したことで フランス型の金銭による人質交換の目論見が潰えた。それは最初に描いた筋書きと違って 後藤健二 湯川はるか 両名の犠牲もやむなしという結果になることは 誰しも予想ができたが、、、すべてが政治の闇の中で情報という情報 時系列も含めて大きな渦の中で事実と違う仮想の事実が出来上がって この事件にも終止符が打たれると言う 現代版アベシン・ドロームです。おぞましいですね、どこまで人権を大事にするのか?口先だけの政治家たちです。
by tabi-syashin | 2015-01-29 00:15 | Mount | Trackback | Comments(7)