飯坂スキー場跡地から栗子 (1994.02.12~13)

 明治時代に掘られた初代の栗子隧道は素掘りトンネルであった。また、前後の道路の勾配も急なうえ屈曲も極めて激しかった。 やがて昭和の時代に入り、東北地方の道路にも自動車が出現するようになると、それまでの道路ではとても間にあわなくなった。 

そこで、昭和8年4月に当時の内務省仙台土木出張所(現在の国土交通省東北地方整備局)により、国の直轄工事として、国道5号万世大路改良工事が着工されたのである。福島~山形の県境の二ツ小屋隧道脇に、二ツ小屋工場(現在の出張所)や宿舎を配置。二ツ小屋隧道と栗子隧道はコンクリートで巻き立てるなどして、明治時代に三島が開削した旧隧道を拡張して整備した。

 このため、米沢側には山肌に今でも二つの坑口が並んでおり、時代の流れを象徴している。さらに、橋梁の幅員も6メートルとして、自動車の通行が可能なようにした。冬期の過酷な作業や資材運搬の困難を乗り越え、昭和十二年三月にようやく二代目の栗子道路が完成した。 この栗子道路の改修により、福島・米沢間は2時間30分で結ばれることになり、貨車による鉄道輸送と比べて、約30分の時間短縮をなし遂げることができたのである。(ネット「米沢と福島を結ぶ万世大路」より)


d0237340_23305384.jpg


1月に入ってなお雪は降り続き なかなかチャンスが訪れなかったが 中島君が同行してくれるというので ようやく「万世大路」を東側(福島側)からアプローチすることができた。ルートは 東栗子トンネル横から始まる。ここの通過には少し不安があった、それはこの旧道に掘られた二ツ小屋トンネルがどういう状態で残っているかという事と その先の二ヶ所の橋が渡れるものなのか ということである。

旧飯坂スキー場をジグザグにシール登行する。昔 ここにはスキーロッジがあり、仲間たちが集まってはリフトケーブルに座席をフックして 自前でリフトを動かしていた。ほとんど朝まで飲み明かしたりしてワイワイとスキーに興じたことがある、義理の兄がスキー教師をしていたので僕も思いっきり新雪で秘密の特訓ができた・・・なんてことを思い出していた。

さてさて いよいよ二ツ小屋トンネルだ(昭和9年完成)。レンガブロックがアーチ状に入口であることを示す立派なものだ。意外なことにここまでブルドーザが通ったキャタピラ跡があった。此処までの積雪は120cmぐらい。入口は向こうの出口が見通せないほど暗いが、何やら闇の中に光る物体があることだけは入口からも見えていた。

今 トンネルに潜ることでようやくその物体がなにものであるかを知り得たが、直前まで、300m先の出口の光を見るまで分からなかった。人気のない暗闇の通過というのは薄気味悪い、なんといっても昼間なのに闇が何もかも蔽っているので じつに不安だ。さらにヘッデンの頼りない光で知れる情報は少なくさらに不安が不安を呼ぶ。

トンネル中央部に青白く光る立体物があった。ヘッデンで照らすとそれは天上から吊り下がった氷柱だったが、ヘッデンのライトが乱反射すると得体の知れない謎の物体のようにも見えた。上をよくよく覗くと トンネルに穴があいていてそこから光が氷柱を通して発光するという怪しげな状況だった。それが明らかになった時には唖然としたが、結構 ショッパイ(笑)。

出口は3mほどの吹きだまりで塞がれていた。僅かな空間から外へ抜けだすと道は左カーブとなり 左からのブロックを予測しながらの通過となる。やがて道は烏川上部に出てコンクリート造りの橋に出た。問題なくこれも通過できた。橋を渡り左岸沿いにさらに進み大きく右折すると 周囲が開け雪原となる。ここから30分ほどで目指す雪稜基部に至るのだが 途中、滑谷川にかかる二つ目の橋は接地部分に穴が開いていて少々不安があった。

それにしても見事な雪稜だった。40度ほどの角度で支稜に吸収されていく、冬季の栗子アプローチに最善なルートである。しかし二ツ目玉低気圧通過で天気が崩れ 山は予報以上に大荒れとなりそうだった。中島君の言うとおりに撤退した方が良かったかも知れなかったが 明日があるので雪の中を先程の雪原に戻ってテントを設営し一夜を過ごすことにした。まだ2時前だったが今日の行動はこれで打ち切りとした。

飯を食ったらやることは何もない。酒はたんまりあるので毎度のごとく低レベルな哲学に興じた。中島君は会員の暁美嬢と婚約したばかりで悩みがたくさんあるらしかったが 酒が進むほどに低レベルな下ネタ話に興じていった。東京では20センチも雪が降ったとラジオがいっている。春の珍事というべきか 春らしいというべきか???

夜は樹木をわたって寄せてくる強風に幾度も悩まされ続けた。寝入ったのはおそらく三時を回っていたのかも。これで今回の山行は終了した。翌日は朝食後、即時撤退! 再び吹き溜まりの壁を越え二ツ小屋トンネルを楽しみながら歩き、東栗子トンネル入口へとゆっくり下山した。

この日、すぐとなりの吾妻連峰で中高年スキーヤーの大量遭難事故が起こった。
d0237340_1162316.jpg

[PR]
トラックバックURL : https://tabilogue.exblog.jp/tb/20323245
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by tabi-syashin | 2014-02-06 23:51 | Mount Kuriko | Trackback | Comments(0)