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まほろばの里から豪士峠  (1993.12.4)

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うすいピンクに染まる1074m峰と、その右 綺麗な山容の駒ヶ岳

福島市飯坂町と山形県高畠町を結ぶ道には二井宿峠と板谷峠とがある。その二つの峠道のほかに間道と称される道がまた二つある。一つは鳩峰峠、その南に豪士峠がある。その峠道を味わうには一つの方法しかない。かなり独善的だが季節の移ろいが冬となり うっすらと山肌が白く染め上げられ できれば「ほど良く雪が降る」といった条件が最も良いと思っている。初冬の峠路が実にいいのだ。

まほろばの里 高畠町。いまだに茅葺の屋根が点在する。そのまた奥の一本道を上和田の集落へと、のどかな冬囲いの風景を眺めながら登山口へと向かう。看板に「人を襲う熊に注意」とある。具体的に「人を襲う」と特定しているところがなんとも面白い。栗子山塊には熊が多々出没すると聞いてはいるが、冬にしか登らないので未だ出合ったことがない。

花ノ沢を渡り、明白な尾根道を辿っている途中で雪が降ってきた。情感を飾るナイスなタイミングである。露岩帯までひとしきりの急登である。丸裸の木々が静粛に斜面を埋めている、それだけが白さの中の色といえば色か。あとはひっそりと季節の色を白に染め上げていた。ジグザグの斜面の上部は白い平原だった。

霧氷でできた白い珊瑚の華がみごとだった。振り返ると峠路の航跡とでもいうのか、雪の中に今自分が辿り来ている足形が型抜きされたように点々と落ち葉の黒さを浮き立たせていた。前方に目を転じれば天界よりの旅を終えたばかりの白い処女地。憧憬に奪われていたら 雪雲のガスの中に入ってしまった。冬の味わいはどうやら此処までらしい。

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by tabi-syashin | 2014-02-07 18:13 | Mount Kuriko | Trackback | Comments(0)