三岩岳から城郭朝日山へ 2日目(南会津)

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三本山毛欅峠から遠望した。大戸沢、三岩、その右が窓明山
坪入山からのペイヴメントが稲子山を通って足元まで連なる。

5月2日
ガスが立ち込めるかどうかいまいちはっきりしない天気の中を出発する。ウソがとぼけた声で鳴いている。シラビソの途切れたところで眺めると、窓明山はすっかり雪庇の山と化している。東側の雪の切れた斜面から回り込んで山頂に立つと今日これからのルートが薄ぼんやりと見えている。

家向山から綺麗に延びた尾根が足もとまで来ている。坪入山から右手、東に稲子山までのルートが今日の行く手だ。ブナの街路樹を伴ったぺイヴメントが用意されていた。そのはるか向こうに御神楽岳もかすんで見えていたが この機のほか2度とシャッターチャンスは与えてもらえなかった。

窓明山をスタートして間もなく、女性だけのパーティとすれ違った。こちらの名を名乗ると当会の名を知っているらしく親しく情報交換できた。彼女たちは会津朝日から駒ヶ岳までの縦走予定で今朝は坪入山からのスタートであると言っていた。彼女たちのトレースを使わせていただき易々と坪入山に立つことができた。振り返ると窓明山はどっしりとした家形の山容を構えていた。

それにしても相棒はこの日の天気を恨んだに違いない、なんせこの日のために好きな山岳写真用に3㎏の撮影機材を持ち込んでいるからだ。あわせて健気にも日本酒と缶ビールとを絶ち 小さなウィスキーの小瓶に代え軽量化に神経を払って臨んだから推して知るべしというところであろうか。彼にとっては昨年の会津駒~三岩岳山行時の晴天があまりにも印象が強かっただけに 私としても申し訳ない気分だった。

悪天の為、坪入山からの観望をルート確認で終止させたあと 雪面の割れ目に気を付けながら一気に尻セードで山頂北端からぺイヴメントめがけて400mほど滑走した。雨具を着たままだったのでかなりのスピードで ほんの数十秒で肩まで下りてしまった。

コンター1400mあたりは温暖となり緊張感も薄らいだが本当はこれからが大変なのだ。目指す稲子山は明瞭な屋根型をしていて中間部に農家の煙抜きのようなポコンとした突起があるようだ。

ここは白い歩道入口でゆったりとした南会津のブナ林稜線漫歩となる。迷いやすい地形の1447m地点で山頂から続いていたスキーのトレースが消えていた。おそらく西ノ沢まで下っているのであろう。稲子山の取りつき手前1467m地点で休んでいると徐々にガスが立ち込めてきて我々が山頂に着いた途端ついに小雨交じりの濃霧となった。

稲子山三角点まで少々のヤブを漕いで 煙り抜きに見えた東面の崖の張り出し部分の頂点に立った。さてここからの下降点のサーチに不安を覚えたので ザックから20mロープをだし大袈裟ではあったが楢の枝にビレイをとり下降点を探した。

最初に立った位置は綺麗な急斜面の雪庇の真上だった。慌てて這い上がった。さらに数十m戻ってロープを出せば そこははたして綺麗なスロープでザイルを出している我々がアホみたいな正統派の下降点だった。

左手になる南東面の斜面が急なために滑落に注意しながら一気に下降していく。1460m地点、姫子松の数本立っている少し盛り上がり気味の尾根はここでコースを左右に二分する。右の尾根は南へ道行沢への下降点と思われた。

ここでは何度も何度も地形図を読み 不安ながらも左に折れた。少しの地形の変化や曲がり具合にも、いちいち立ち止まって地形図と睨み合った。今日は朝から高度計の補正を行っており先ほどの稲子山でも抜かりなくやっていたので確信はあった。

このようなガスのなかでは慎重すぎるほど慎重にやって間違いはないのである。最悪はルートを右へ 安越又川へ下りればいいとは思っていたのだが。ルートはこの日の最低地点1322mへと向かっていた。

「鞍部は風の通り道」のセオリー通り、5mほどの雪の壁になっておりピッケルでステップを切りながら乗越した。小沢山はすぐそこにあった。山頂部は楢の大木があり その部分に雪はなくテントサイトとしては好適地で三本山毛欅峠まで30分程のところであった。今日はやたらと神経を使ったので疲れてしまった。2:30であったがここまでとした。

ところがツェルトを張りながら何気なしに見上げた幹には「赤倉」と書かれたプレートが打ち付けられており、「いったいここはどこなんだ?」ということで慌ててしまった。地形図を広げ先ほどまでの行程を記憶とともに照合させた。

プレートには明大WVとも記されていた。迷惑な話も合ったものである。相棒の料理は合理的な雑煮餅だったが それにカレー粉をいれて食欲を強制的に出させてくれた。自慢の5年もの梅酒の水割りはスーッと疲れを取り除いてくれた。今夜の割り当て分 500㏄をペットボトルに入れた日本酒がこれまた旨かった。 1994 5月 山行記録より

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by tabi-syashin | 2013-11-20 14:56 | Mount M aizu | Trackback | Comments(0)