御神楽岳・水晶尾根登攀(記録)

お世話になっている「トラさんのブログ」で、、、ここ最近、「御神楽」に登ったという記事が出ていたので
いちいち20年も前の記録を引っ張り出すのも面倒なので 当ブログのトップに「御神楽の記録」をもってきた。
そのうち用が済んだら 元に戻そうと思う。。。


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下山時、栄太郎新道から見た山伏ドーム



御神楽岳 水晶尾根登攀
この尾根は登攀までいきつくことなく、P5で途中敗退し「下山遅れ」という遭対出動直前の大迷惑をかけた苦い思い出がある。山域に詳しくなかったことで 取り付きの沢を迷ったことから始まり、進んでいく途中で現在地の名称が分かってくると云うオマケつき、挙句 山脈に囲まれたスラブ帯を眺めて非常に感動し、何故か涙が溢れてきてどうすることもできずに尾根に佇み、帰着遅れとなったもので、、、 典型的「お粗末山行」と、自分なりに総括している。翌年、再登攀の日まで お粗末だったがゆえに己れを許せず、ずっと心に重荷を残して一年を過ごしたという、自分にとってこの上ない恥辱の山だった。

翌年、リベンジまでに下調べは大概を済ませ かつ完登したので呪縛解放の岩稜登攀になったと思う。同じく周囲からの目に一年間耐え、ともに技術訓練してきたパートナー幡野も同質の恥辱を味わってきたことから、その雪辱戦でもあった。7月までなら雪崩の雪が詰まって楽に取りつけるというが、やはり岩稜登攀はグレードが上がる秋に限る。若かったので…、 山伏ドームの基部でビバークし焚火しながら酒を飲む登攀計画も立てていた。まるで、アホだった。

「登攀記録」は彼に委ねた。当日が来るまで一切計画を口外せず、計画書が会より認められ 再び行けたことに専ら感謝し 1994年に幡野が書いた山行報告をわが記録として 当ブログに残しておきたいと思う。

もっと楽に簡単に尾根にでるスラブルートもあるのだが、それを嫌って下部の尾根末端部から登った。3年掛けて当地を調べ歩いた経験があるから 結果として秋の岩稜を登れたようなもの。取りつき点など詳しい情報や経過時間なども、また遡行・登攀図などもネットには上げません。(仙台YMCA山岳会 OB会員 もときち)


下の写真は 山伏ドームを水晶尾根から撮影したもの。ドームは約100m ボロボロの岩だ。
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御神楽槍への登り



山行報告書 記録:幡野
昨年の敗退から一年が過ぎ、待望の日はやって来た。この一年間、御神楽のことばかり考えていたわけではないが 頭の片隅にはいつもしこりとなって残っていた。自分のことはと言えば 昨年は何も考えず3級程度の岩稜登攀だからといわれ ただついて行っただけだった。だが今年は自分なりにトレーニングもしルートも研究し技術的には必ず越えられるはずだという所まで意識をもっていった。 9月23日前夜発で蝉ヶ平奥の林道終点に23:00到着。 01:00 郡山労山の渡辺さん 嶋津さん遠藤?さん三人到着した。今回はム沢に入渓する郡山パーティと定時交信しながら登ることになっている。挨拶して テントで軽く呑む 02:00 就寝

05:00 起床 軽い朝食を取り 05:40我々のパーティが30分ほど早く出発した。 06:30 湯沢出合い、昨年幕営した場所だ。高頭(コウツムリ)スラブが美しく、また懐かしく見上げられた。ここからヒグチ穴沢の出合いまで広谷川左岸に道がある。昨年はこの存在を知らず河原を進んだ。 07:00 ラクダノ窓沢出合い。広谷川の水量が少ない。07:15本名穴沢出合いだ。いよいよだ、気分が高まる。3~5m3つの滝を越え本名穴沢の広場に到着。ラッぺルに使った昨年の捨て縄を発見した。「なんだか 乗り気しねえなあ」とリーダー。あれ?どうしたんだろ?いつもの高橋さんと様子が違う。今回は絶対失敗できない。昨年のことなど色々なことが頭に浮かんでいるかも???

急峻な本名穴沢左股を詰め 昨年よりも上部に登ってから尾根に取りつきたかったが 3mほどの滝に行く手を阻まれ昨年と同様に右岸の藪から枝尾根に取りつく。露岩と藪のミックスした枝尾根は腕力で上がり、 08:45 水晶尾根末端の稜線にとりつく。岩の穴に水晶を発見した尾根である。昨年はここまで上がるのにかなり苦労した記憶がある。ボロボロのリッジを通過し藪と岩稜の尾根を進むと昨年バックしたP5のスラブ下に到着した。 10:00 なんと昨年より4時間も早い(よし 行ける!単純な私はこの時思った)

10:00の交信を終え、ここからアンザイレンし高橋さんリード2ピッチでP5スラブを越える。3ピッチ目は問題なく幡野が先行でP5の頭に立つ。 10:40 ここで初めて御神楽槍を眼前にする。前衛の鋭い岩稜に守られて見えるP4は迫力だった。(こんなん登れんのかな~と単純な私は直ぐに思ってしまう)P4の前衛峰は左からツルベで2ピッチ進む。「このピッチは楽勝でしたね」と素直に云うと「そんなことは全部終えてからいいなさい 今言うことじゃないだろ?」と軽く怒られた。P4のフェース状の丸い大きな岩は渓流足袋では滑るかもしれない。リングボルトが打たれていたのでそれを確保支点とし 高橋さんがバンドを右へ進みそこからP4へ直上した。

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写真はP3ピーク。


13:00 交信はP3手前。ここまでナイフリッジの稜線にはいくつかのピークがあった。それにしても周りの眺めはまさに絶景!眼前に山伏のドーム、つばくろ尾根、雪崩に磨かれたスラブ群が360度展開している。いままさに御神楽のど真ん中にいるんだな~と実感が湧いてきた。 15:00 P2コンター1020 ム沢のパーティも順調に進んでいるようだ。いくらかガスってきている。P1山伏の頭が見え隠れしている。コンティニュアスで進む。山伏のドームがかなり下になり、やがて山伏尾根と水晶尾根が合わさりついにP1に出た。そこから湯沢の頭までは15分ほどであった。 15:40 ついに湯沢の頭、登攀終了点である。「ついにやりましたね」リーダーと握手。昨年を思い起こし感激もひとしおだった。

ここからの夏道が長く感じられ緊張が解けたためかバテてしまった。 16:50 御神楽岳。17:00の交信でム沢パーティは稜線近くだがまだ沢中にいるらしい。 17:20 本日の宿、御神楽岳避難小屋についた。とりあえずビールで乾杯。宿泊者は他に2パーティ4名のようだ。 夕食のカレーを食べた後にム沢パーティを迎えに本名御神楽に行く。 19:00 ヘッデン行動になったが、真っ暗闇の中を交信すると、、、ようやく稜線に出たとのこと。沢の詰めがほとんど垂直のブッシュでかなり苦労したらしい。 20:00 本名御神楽の山頂で合流した。ビールで乾杯し健闘を讃えあった。小屋に戻り呑み直しとなり、小屋で我々の無事を待つ方々も交えて大いに盛り上がった。

9月24日翌日は再び御神楽を越えて 湯沢の頭から高頭(コウツムリ)へ。山伏のドームが誘っているようにも見える。「いつか山伏尾根やりたいですね」自然な言葉になった。それにしても 高橋リーダーの2年に亘る心労はいかばかりであったろうか。感謝の気持ちでいっぱいである。(記 幡野 1994.09.25)
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御神楽の「槍」のテッペンで、余裕の水(笑)、あと500cc1本 ストックあり!
当時43歳だった。それにしても…、みすぼらしい格好で登っていたもんだ(笑)
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山伏尾根をバックに青年 幡野。ちょいと サマになってねぇ 若いからだな(爆)
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上の写真は 水晶尾根から御神楽沢を俯瞰したもの。右の手前側の斜面はP5からの派生斜面。これを観ると水晶尾根もたっているのが分かるだろうし、向かいの「つばくろ尾根」も急峻だ。最後の詰めはスラブ登りなので意外に楽なのだが・・・途中、水晶尾根のP4、山伏尾根のドームにいたるまでが どちらも厳しそう。下の写真は下山途中、栄太郎新道から見た湯沢の谷。

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下の写真だが 郡山労山パーティとの合同遡行&登攀記念に共に収まったもの(幡野撮影)。この翌年、翌々年か、ガッシャブルムⅠ峰登頂後、C3上部で雪崩に遭い彼岸の人となってしまった。渡辺さんは気概充分な方で 当時新入会員だった友人の夢語り(男の我儘)を聞き入れてくれて わざわざ実現までに事を運んでくれた とても面倒見の佳い人。技術も高く 信頼も厚く 他会の私から見ても素晴らしい方だと思っている。別パーティではあったけれども ニ度もご一緒し 同一山域を歩いている。当会でも この翌年、中央アジアで遭難事故死が発生しており、 それが自分の中で 一つの山の区切りとなって影を落としている。
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Commented by KS at 2013-11-14 19:38 x
泣ける・・・
Commented by tabi-syashin at 2013-11-14 20:20
一人で弔い酒呑んでるんじゃね~よ~
寂しくなっかんない~
Commented by blackcoffee_4116 at 2015-10-28 16:46
KS
なんだよ、やっぱり泣けるじゃないか・・・
20年になる。若かったなー。
渡辺君は本当に素晴らしい岳人だったよ。
Commented by tabi-syashin at 2015-10-28 17:38
> blackcoffee_4116さん
自分は怠けてるんじゃないのか?あれほど面倒見てもらったじゃないか?
冬に備えて訓練して 栗子の七ツ森で宴会だ! カモシカ尾根で待ってるぜ!マジ。
Commented by blackcoffee_4116 at 2015-10-28 18:14
そう来ると思ってましたー  七ツ森ですね。近くて遠いですね。
一念発起するか、右すねの調子も良くなったし。
Commented by tabi-syashin at 2015-10-29 09:00
と、その前に 面白山で初雪山行やるので
仙台駅に来てけらい。鍋を囲んで冬山祝いでもやろうじゃないか!
鍋材 具材 テントは俺がしょうから 坂下の日本酒たのむ!
Commented by blackcoffee_4116 at 2015-10-30 16:28
坂下の新酒ですな、心得た。新蕎麦も鍋に入れるべ。
by tabi-syashin | 2015-10-29 09:42 | Mount Mikagura | Trackback | Comments(7)