黄色い紀行文  奥只見村杉半島①

d0237340_2292926.jpg
写真・・・横山の手前 田子倉ダム湖を見ながら休憩。
駱駝シャツの今出、地図を読む佐野、記録をとる俺。スパッツが既に破けているw


すっかり読みつくしたボロボロの紀行文が棚のファイルに綴られている。いつか現実になる日が来るとは思いもよらずに 南会津の紀行文は黄色に変色したままだ。半ば自嘲気味に佐野宅に電話するまでは浦和浪漫の高桑さんに頼んででも 無理やり浪漫パーティに組み入れてもらおうか とさえ思っていた。

田子倉ダム湖の渡船手配は高桑さんに依頼していた。前夜ダムサイトに仮眠の準備をした際 いよいよ現実になるんだなぁとある感慨を得た。今日の為に色々な人から厚情をいただいた。パーティを組んでくれた佐野さん今出さん 浦和浪漫の高桑さん 郡山の渡邊さん、嶋津 ありがたかった。
d0237340_2218617.jpg

田子倉ダム湖面より 浅草岳 鬼ヶ面の岩壁を望む。

5月3日
ボートのエンジン音で目を覚ます 釣師の繰り出すボートは田子倉の湖水に三角形の波状紋を描いていた。目指す村杉半島はまだガスの中。菅井、浅野の浪漫パーティが到着。

6時に郡山労山パーティが我々のルートを先行する形で乗り込んでいく なかには岳友嶋津もいる。その帰着を待って我々が乗り込んだ。湖面から目指す稜線を眺めることができ その稜線に立てるだなんて何と俺は幸せ者か・・・。アポロ号と名付けられたボートは水面に映した浅草岳を後方へと消し去って村杉半島の末端に我々をおろしてくれた。

末端から横山に向かう。倒壊した小屋の朽ちた材木が散らばっていた。送電線の鉄塔まで雪が拾えて楽だった。対岸の前毛猛から毛猛山への稜線は雪がびっしりついている。鬼ヶ面山の黒い岩壁が見事だった。 洞岩を見た。雨量観測小屋もあった。ここから横山まではひどい藪漕ぎルートだった。ピークが次々と現れて横山山頂まではまだ先と思わせる。全てが黄色に変色した紀行文と同じなのである。小屋が朽ちている時間的な違和感があるのみだった。

山頂手前は7mほど切れていた。少し戻って雪庇に乗り移る部分で足を攣ってしまった。寒くなってきたようだ。雪面を見ると先行した郡山労山パーティの足跡が右手の西斜面より合流して来ていた。彼らは相当に回り込んで半島にとりついたらしい。こちらから見ても横山直登尾根は雪がべた張りで藪こぎの労はなかったように見えた。ようやく横山の山頂に立った。

d0237340_2329355.jpg
浦和浪漫の菅井Pと一緒に撮影。 村杉半島:猿倉山(ベイクラヤマ)をバックに・・・ 
左から佐野、今出、佐藤(雅)、菅井


ガスが立ち込めてきた。急な岩稜を避けるように郡山労山のトレースが付けられていた。雪の垂壁をバックステップでバイルを打ち込みながら下降する。藪を避けるため東側のズタズタに切れた急斜面(コンター1377)にトレースが刻まれていたが 藪から逃げられるとはいえその代償は等価ではないようだ。

濃密なガスとなっていかほどの切れ込み具合か見当もつかなかったが 綱渡りでもしているような錯覚に襲われながらトラバース50m下降20m再びトラバース80mと続く。

トップの佐野さんがアイゼンを着けたいと云ってきた。相当に神経が傷めつけられたようだ。妄想すれば・・・ここで滑ればダム湖まで一直線かとも思われた(笑) 今までノーアイゼンだったのが不思議なくらいに「感覚のズレ」に襲われた。

この雪面と大気との区別のつかないなかアイゼンを装着するが ザックを落とさないようにピッケルで固定し万全の神経を払った。安全という文字にすべてが繋がるように注意を払った。定時更新で郡山パーティからこの先に快適な幕場があることを知らされた。彼らは1時間ほど先行している さすがに渡邊さんだ 速い。

さてっ、と出発する。と?狐にでもつままれたように斜面は突然平坦になった(コンター1368手前の平坦地)ここが指定の幕場である 郡山パーティは先の猿倉あたりに幕を張ったようだ。浦和浪漫パーティは 我らの後方にビバークサイトを得たようだ。村杉半島初日のテン場で今回の入山祝をした。

佐野さんが食当なので美味しい野菜スープと肉料理だ。いつも彼の山料理には驚きもし感心させられている。彼の山への向かい方に信念のようなものを感じる。岳人はかくありなん モデルのような人だ。 
                            1995年5月 個人山行記録より

d0237340_7505145.jpg

[PR]
トラックバックURL : https://tabilogue.exblog.jp/tb/19896530
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by tabi-syashin | 2013-10-30 11:16 | Mount M aizu | Trackback | Comments(0)