人気ブログランキング | 話題のタグを見る

生活技術・・・不能な登山者って④

生活技術・・・不能な登山者って④_d0237340_21154891.jpg

前ページからの続き > 

山への畏敬の念を養わず、怖れもせず、夏季に単独で名山を追いかけたとして実力は早々には付かない。体力はつくだろうが生活技術や観天望気、危険回避や自己脱出などの実力は付かないということだ。コースタイムの載った地図しか読めない実力程度で、木道完備の尾瀬や、ホテル並みの山小屋が揃った北アルプスや、登山者の列が山頂まで続く富士山など、人の流れに乗って標識完備の道を歩いたとしても登山の凄みや醍醐味は味わえない、実力などつくものではない。

それなのに「実力がついた」と自分で勝手に勘違いするから 山の難易度をこれまた勝手に高めたりして中級者、上級者向けの山岳(便宜上のクラス設定だが)とかに独善的に挑むようにもなる。それがクリアできたら自分は上級者だとすっかり勘違いする。ブログにもラッキーな「結果オーライ登山」が見受けられるし、他人の成功体験をブログで読んだだけで、よ~し俺も!と勇み立つのは考えものだ。それらの認識違いの結果 受難者がまた増えることになる。今や発想に豊かさが消えてしまい、代わりに「トレース文化」をこなす中高年が山を闊歩する時代なのだ。基準は標準タイムに少しでも早く歩くこと。笑えてしまう。他人のトレースを追うだけの登山、、、? 一体 「自分の山」はどこへ行ってしまったのか?

総てが勘違いなのだ。それを正しいと思い違いしているのは他の何方でもない、「好天ヤホー登山+宴会大好き」な貴方たちだ。難題だけど「組織に入ることがイヤ」「ガイドも雇えない」というなら覚悟して入山しないといけない。もし単独で入山するにしても ソロというのは「登山技術、生活技術、登攀技術を併せ持ち、謙虚に構えて入山する人」という意味に理解すべきだ。組織に入ることを嫌い、団体行動がイヤだとかの理由でソロ登山するのとはわけが違う。勘違いなさらぬように。

そんな時は・・・

謙虚に地元山岳会の門を叩くことを勧める。山岳会では幾つかの個人山行計画が提出されているので 自分の経験や力量を正確に伝え見合った山行を選べばよい。思想信条が問われるわけでもないし所得制限があるわけでもない。生活技術は公平に教えて貰えるし事故回避術も同様だ。本格的な雪山シーズン前に冬山のセオリーを覚え込めば「何故そのセオリーがあるのか」その理由を一つ一つ実践で知ることになる。セオリーを理解すれば我が身大事に思えてくるし身勝手な登山を慎むようにもなるはずだ。 山岳会のそれは蘊蓄などではなく、生活技術=生存技術そのものなのだから。


来春、雪山で遭難するのはパーティを組んだ高齢者ではなく山ボーイといわれるソロ登山者かもしれない。GPSで自分の位置を知り、叫んでも携帯電話の電池が切れたら一巻の終わりだ。




過去の記事「最近の山事情」から抜粋

昔は「三人寄れば山岳会」と揶揄されながらも 経験が人から人へ伝わる手段、いわゆる「空間」が存在した。だけど今は違う。若者の登山ブームも老齢者の独善的登山ブームも危険回避を経験として積む「集い」、「伝承」などの手段がないんだと思う。たしかにPCを開けば手軽に教えてくれるが、だがネットでは「知識」しか手に入れることができない。知ってはいるけど実践では試せないし活かせもできない・・・さらに無目的な中高年登山者は深田百名山のような「既成の目的」に寄ってすがろうとする。この心配は今後もますます増える一方だ。

ネットで覚えた山登りのエッセンスやセオリー、どうしてそのセオリーが生まれたのか?などを実践で確かめる、経験を積むということが「ネットでは経験できない」、やおら実戦に突入することになる。警察、山小屋、ホテル側の「安全無事」という気持とは裏腹にお手軽に上高地午後3時着のツアーバスで3000m級の前線に運ばれて来る「お客」が多いのが事実だ。

生活技術・・・不能な登山者って④_d0237340_21593040.jpg

生活技術・・・不能な登山者って④_d0237340_2143914.jpg

















  
Commented by さぶ at 2013-09-19 23:03 x
山はいいなあ。車も楽しい。
私の思っていることを文章にしてくれました。

「伝承」が大切ですね。
ひょっとした時につぶやく先輩の助言。
その場でないと身に付きませんね。

目覚めた山ボーイ、山ガールたちが我が組織に入ってくれると、おじさんも張り切ります。

伝承をつなげるためにも。
Commented by tabi-syashin at 2013-09-19 23:27
こんばんわ サブさんの会には今でもどんどん人が集まるでしょう?
他会から見れば羨ましい限りです ましてや歴史などを見聴きし
さらに自ら調べる幅というか会風をお持ちになってらっしゃるし。。。
ハイキングの会とはいっても歴史は長いし これから望む点も
少ないんじゃないですか? それこそ羨ましいです。

山ガール 山ボーイは少ないかもしれませんが・・・^~^;;
by tabi-syashin | 2013-09-18 21:15 | Mount | Comments(2)