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井上雄彦 最後のまんが展 バガボンド

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井上雄彦 最後のマンガ展 最終重版(仙台版) にいってきました。ほとんど一昨年前の上野の森美術館と同じ内容だそうですが、新たに仙台展のために加筆された作品が屏風絵8枚ぶんほど入口に展示され、入場制限に並ぶ者たちに 一時間はたっぷりかかるぞ と語ってるようでした。 

漫画家:井上雄彦との出会いは 週刊少年ジャンプ連載「SLAM DUNK」 オキマリでしたね。毎週毎週マンガ本を買ってくるのは父親の役目で、それを毎週毎週楽しく読みいるのは娘らの役目・・・だから買い忘れたときなど、非難轟々で夜中のコンビニ巡りに泣かされたものです。売り切れ続出の人気漫画ですから、町の本屋に定期購読の予約をしたほどでした。なので 連載単行本がリリースされたときは、非常に助かりました(笑) 

それにしても、「インターハイ:山王戦」後に突然、連載終了となったのには驚きました。作者は「山王戦より面白い試合はかけない」とか、、、まあ・・・バーンナウトしたんでしょうか?でも彼自身のホームページでは「描きたくなった時にかく」とも言っているので、、、15年を経てお孫チャンができた今でも、期待だけはしております(笑)。

まあ、「SLAM DUNK」にはそういう思い出があったわけですが、今回の「最後のマンガ展」は新たに見てきてよかったと思っています。吉川英治の宮本武蔵のイメージを払しょくするために「バガボンド」というタイトルで週刊モーニングにてスタートしたわけですが、その好調な井上マンガも絶頂に至った時 ( たぶん、31巻完成後のころ?)、、、TVドキュメントでも放送されたように、そのシリーズ巻末に挑むにあたり 武蔵の最後をいかように描くか・・・苦悩の日々だったと聞き及びます。

当時、漫画家:唐沢なをきさんが NHK番組プロデューサーの“予定調和の中に組み込まれ”、その横柄さに反発し取材取りやめの報が流された後の、番組放映でしたから、なおさら作家の表情に興味がありました。 

集大成という最大の壁にぶち当たった漫画作家:井上雄彦・・・、漫画じゃ「武蔵」などの長編を描ききれないだろう などと評され、その慙愧に耐えない想いを“最後のマンガ展”で空間というスケールを活かしながら明暗のみの展示会場セットにて晴らしきったようでした。 

TVドキュメンタリー番組の放送当時には、武蔵の悟りの境地を一コマに表しきれないでいる「もどかしさ」、「回りくどさ」、「思考の迷路」、「哲学の回廊」にドップリはまった・・・などと囁かれたものでしたが、そんなネットや世間での風評をよそに 今回、一読者として再び魅入り、、、彼なりの「結論」、「出口」めいたものをあらためて受け取ってきた次第です・・・

上手くは言えませんが それはまた作家の人間観・「テーゼ」のようにも語られていたりして、素直にそのまま受けとめてまいりました。そんな感じで演出された“バガボンド34巻”はまさしく現代人へ向けられた「哲学の空間」そのものでした。それにしても髪の表現やら陰影やらの細かさ アシスタントさん達の徹底?忍耐?振りには脱帽しました。 

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by tabi-syashin | 2010-05-28 12:08 | Art | Comments(0)