御神楽岳・前ヶ岳南壁 (只見川水系霧来川 南会津)

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今日のルートは当会初となるので「右スラブ」ということらしい。来年はV字スラブに数パーティだすそうなので楽しみである。06:30に登山口に霧来川左岸をいく。八乙女滝を眺め 八丁滑坂をすぎ 鞍掛沢辺りから入渓する。右岸からの雪渓で谷が埋まり緊張する。地形図コンター547を07:30にすぎ 雪渓をわたって何度目かのカーブを過ぎると急傾斜のゴーロは二股になり 南壁が現われる出合いに着く。

ドンとスラブ群が屹立してのお出迎えである。中でも緩い右スラブはここからは未だ見えない。目前のV字スラブは右から第1、第2、第3、第4 中央リッジが盛り上がりそれを挟んで、登山体系に書かれている左フランケが陰にある。中央リッジ稜の日陰は赤いスラブ側に落ちている。垂壁登攀となる赤いスラブは白いバンドの上に立っていた。三本スラブの上部半分、二本のリッジに区切られた三本スラブ右、中、左ルートなどが明瞭だった。じつに凄いところに来ていると実感した。

委縮しているのも束の間 緊張の中 この出合いを右へさらにゴーロ状の急斜面を越えて右スラブ出合いに着く。「V字にいきてぇ」とパートナーが叫ぶw 確かにこの位置から見える我々の行く手 右スラブはただの雪渓が詰まった谷としか思えなかった。それに比べてV字2、3スラブはスッキリしていた。

登攀用具をつけて 渓流足袋に4本爪軽アイゼンを装着しサクサク音を立てゆるゆる進むと二股になり左手上部にピンク色というか肌色のスラブが見えてきた。これだこれだ 待ってました!と気が充ちてくる。取り付きの滝を2、3超えると 如何にも中年オヤジのお腹のような緩く突き出た岩に邪魔され取り付きにくそうな 凹状の7m涸滝だ。西田くんが直登するが「滑る~滑る~ザイル欲し~」と騒ぎながら攻め上がってゆく。それを観て直登を避け右カンテ状から滝上に出てお助けスリングの準備をしたが ほぼ同時ぐらいに西田くんが上がってきた。ここからはスラブが200mぐらい続く 斜度は40度?と南壁の中では緩いスラブだった。さらにノーザイルで行くがアキレス腱が伸びきってしまいそう。中間のテラスで休憩し 渓流足袋からスラブ登り用のスメアリングシューズに履き替えた。 岩登りではない、単純なスラブ登りだがフリクションが効いて気持よい。
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テラスから上は壁が起きてくるのでコンティニュアスで進む。スラブというか アバランチシュートのただ中にいると云う感じで 我々2名だけの登攀者は小粒のように思え孤独にさえ感じる。時おり ガラガランガーンガーンと岩が転がり落ちてゆく。シュート上部にフェイス状に立つ5mほどの岩場があり その付け根を横切り右手のリッジ状岩峰に立つ。リッジのさらに右隣のシュートの先は夏道(杉山ヶ崎)のはず。高度感のある谷の向こうに日尊倉山と貉ヶ森山が綺麗に見えていた。その右には東岐山や小金花など赤崩山まで会越国境の山群が続いている。スラブの岩肌に残った山土に淡いピンクのトキ草が数株咲いていた。雪崩で削がれでもしたら来年に咲くか咲かぬかわからぬスラブ帯の花はいっそう愛おしかった。谷から温風が上がってきていた。太陽がジリジリと照りつけた。

最後の尾根に出る際にコンテを解き シュリンゲをアブミにして最後の壁を木登りでクリアし本名の避難小屋まで軽く藪こぎした。本名の避難小屋から本名御神楽岳まで登り 一年ぶりの水晶尾根を眺めたが・・・、なんと!水晶の壁が緩く見えるではないか。これなら今年の秋に挑めるかもしれないと思った。
1994年 山行記録より
この年の秋に幡野とで水晶尾根登攀をトライ 郡山労山渡辺・嶋津パーティの広谷川ム沢スラブ登攀を ともに敢行し互いに雪辱を果たし呪縛から解放されている

反面 下山途中の夏道から右手に見える南壁スラブ群は意外にも壁のように立って見えたので少し驚いた。先程まで緩く思えたのは気のせい? また挑みに来いよとでも言われた様だった。谷を眺めながら冷えたビールで喉を潤した 昨年の途中敗退を思い出しけっこう泡が浸みたのを覚えている。 翌々年 浦和浪漫山岳会出身の館岡と再びこのルートを登ったが、彼はシュートを避けて途中から左右にスラブを分けるリッジを追い山頂まで登攀した。まあ、ソッチへ向かいたがる館岡に少々面食らったが、、、そんなルートも有りか?とは思う。 新潟広谷川湯沢から3度と会津本名から霧来川も含めて5度ほど、6年連続で通い続け思いは達せられた。

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御神楽岳 前ヶ岳V字スラブ壁。右から第1 第2 第3 第4 左フランケ 三本スラブ右、中、左 赤いスラブと並ぶ  
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by tabi-syashin | 2013-11-12 23:45 | Mount Mikagura | Trackback | Comments(0)