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枯木山  (南会津)

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枯木山の山名考をしていたら 答えはあっけなくやってきた。
その昔 枯木峠という名の峠があった・・・らしい。
ちょいと 山名の由来を知るには そこまでの「貯め」しかなかった。

この山は 同じ南会津でも伊南や檜枝岐とは趣に違いがある。
やはり 田島の山という感触からは抜け出せない。
帝釈山脈のなかでも 田代山を越えて荒海山までは「尾瀬」系の雰囲気はない。
その裏付けとして シラビソのような針葉樹の森はないし 
眼下には 湯西川温泉があったりするし 懐の深さを感じない。

初日、川面に雨が跳ねる天候に山行を止め、酒を仕入れ湯の花温泉に浸かった。
翌朝 田代山林道に車を乗り入れ 赤岩沢に入渓する。
杉の木で沢は暗かった。途中大きな桂の木があり しばし見とれた。

時折 沢の中に水色のネットが揺ら揺らしているのがわかる 
石と石の間に 缶からが詰まっていたりもする。サンショウウオ獲りの仕掛けだ。
漢方薬として使われるようだ。生活のにおいがする沢である。
そういえば 全国には15種類のサンショウウオが棲息している(*オオサンショウウオ等を含まない) 
という話を 郡山山岳会の成田氏の文章に見た。

沢は中ほどに 14mほどの滝が出るが これを右からサッと巻きあげ 
読図で腰ほどの低い藪を超えて 南峰との中間鞍部に乗り上げた。
甲子の山並みが見え 背には湯西川温泉がひっそりとある。
大嵐山 荒海山が見えた。県境にあってもほとんど奥会津風な懐の深みはない。

南会津を愛する先人たちがこぞって登ったというこの山に自分も登れて
半世紀を隔て 一つの感慨を共有した感じになったのだが・・・
でも 先人たちがこぞって登った理由は何だったんだろう? 不思議だった。

「何故?」を枯木山で考えるが、「それ」を見つけ出すのは困難だった。
交通が発達した今となっては 先人たちと境地を共にするには難しさがあるようだ。
昔のようにバスを乗り継ぎ歩きに歩いて、ようやく登山口に立つようじゃないと・・・
この手の感慨は もう得られないのかもしれない。

しかし その思考性、同窓の一員として加われたことに凄く満足している。
そのためか? 山行の余韻を心に味わえたのは・・・数日経って 
山行ノートを手にした時だった。それも ジワリ ジワリ・・・とだ。

                                                 1994 山行記録より
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石楠花と背の低い笹に覆われた枯木山山頂。
花崗岩の三角点標柱があるだけだった・・・右がチャウ、左が俺、撮影担当は秋山。


















by tabi-syashin | 2013-10-25 22:56 | Mount M aizu | Comments(0)