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居酒屋 源氏

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文化横丁といえば、餃子の八仙とか居酒屋源氏とかが有名だ。「八仙の餃子を食べてきたよ」とか、「本場の牛タンを食べてきた」とか、「味のある、渋い居酒屋に寄ってきたよ」とか、まあ仙台出張の土産話である。今夜も出張族がガヤガヤと コの字カウンターを埋めていた。なぜ、一目で出張族かどうかが分かるのか、って? そりゃ、カウンターに並べられた皿の枚数で直ぐそれと分るもんだよw。 常連ならこの店で肴、アテの注文などしなくとも、馴染みの店ならたくさんあるわけで・・・餃子なら八仙 串焼きならウサギ 焼鳥ならキムラ 海鮮なら十三浜 和洋中なんでもござれだ。最近は隣りのいろは横丁で立ち飲みもできる・・・わざわざ源氏で呑む理由もなくなっている。

最近、マナーも悪くなり大きな声で仕事の話をする酔客が多くなった。聞きたくなくとも大声の主に耳を貸さねばならぬ。金を払う身としては迷惑な話である。今夜も大きな声で酒と肴を注文してる。向こうの席からは 酒が無い 肴がきてない などという声。こっちでは 肴を頼んでいないのに来てる なども聞こえてくる。「酒と肴でワンセット」、、、角皿か丸皿か小鉢か?で何杯目かが分かる…そういうシステムだ。先輩面して云うわけではないが 最近 この「源氏スタイル」を学ばぬ客が大きな声で文句を並べる。酒と肴でワンセット とはいえ 酒が出ると同時に肴が出るとは限らない、2杯目と3杯目の肴が同時ってこともある。もっとも昔は、新参者には隣の常連客があれこれと注文の仕方を伝授したものだが 最近は初めての客にお節介をやく先輩格の常連さんたちも減ってきた。

ついでに例えば暗黙のルール、その一つ注文方法だが・・・お酒が無くなったら黙ってカウンター上段にグラスを置けばよい・・・とだけでもクチコミやSNSに書いてよ(笑) 「目配り、気配りに抜かりない女将が気づいてそっと窺いにくる それまでしばし静かに酔いを愉しんでもらいたい」とでも。。。お酒と肴は一つのセット。4杯目にはシジミ汁がでてそれでチョン!ともネ。もっとも、5杯飲んでも「帰れ!」と言われたことはないけど。 仙台出張族の憧れとまで書かれた「居酒屋源氏」のクチコミを見かけるが、30席ほどのカウンターを女将一人で切り盛りしてる って書きこまれることは稀だ。女将の着物姿が美しいだの 割烹着姿がお袋を思い出させてくれるだの・・・そんなのばっか、、、他所でやれ!(笑)

今夜も7時を回って早めな帰宅者がいるようだ、、、ようやく電車通勤組が引ける時間だ。週末は6時前でも公務員でこの店は激コミになるのだが 今夜は「止り木」なしの平日。帰宅電車の時間、8時前になるとサッと客は引きカウンターはガラリと空く。居残る出張族はあいかわらず 仕事の話をボソボソしながら飲んでいる。普段着姿の常連古参たちは隣客のいなくなったところで、手足を延ばして呑み始める。これが、いつもの源氏。 これがいいのだ これでいいのだ。



昔・・・、

調理室との仕切り小窓の下で 一人で遊んでいる女の子をよく見かけた。それが今の割烹着姿の女将だ。彼女はオカッパ頭のころから酔客を観てきている。私が学生の頃だから既に40数年も、その頃から酔客の気持ちをとくと心得てきたはず。余計なことも思い出すのだが・・・昔、ここのお酒は秋田「新政」のみで、燗つけ器は銅製だった。その燗つけ器の陰に一人お婆ちゃんが椅子に座り にこにことお酒を出していた。

だいぶ以前の話になるのだが そのことについて女将に尋ねたことがある。聞けば、あのお婆さんとは何の血縁もない!(ただの?)使用人だったそうな。「源氏といえばこのお婆さん」が思い出されたくらいだからよほどこの店には似合った「看板婆さん」だった。使用人と聞いた時、私にすればそれはビックリ仰天だった。語気を強めるままに言い放った女将さんの目も一瞬きつくなった。

もっとも当時、成りたて女将は・・・そのお婆さんがつくった「源氏の旧いイメージ」と闘っていたんじゃなかろうか??? 私でさえ抱いたのだからたぶん店の常連客なら同じ思いがあったはず。”和服と割烹着姿のイメージ”が新生源氏の新しいイメージに客受け良く切り替わるまで ある程度の抵抗があったのかもしれない。今の源氏を築き上げるまで、その旧さの払拭と闘い、壊してきたのではなかろうか??? 暖簾を継ぐということは新しさが旧さにとって代わるまで、そんな葛藤もあったろうと勝手に推測し納得もする。(今ごろ気づいてどうすんだろ?)

店の入口に掛けられた縄のれんや障子の引き戸は昔のまま。古く不便だったトイレは20年ほど前、女将夫婦は店の奥壁の裏に新トイレを造ったのだ。壁を迫り出させ、トイレ入口を反対側にするなど誰も思いつかない図案で。じつに画期的だった。源氏の雰囲気を壊さずに、狭い店内、入り組んだ横町の土地によくも造作したものだと感心しきりだった。まあ、それだけ女性客が増えたからだろうし それだけまた出張族がここを訪ねて次々とやってくることへの対応、「おもてなし」なのだろう。


店内の薄暗い明りが 呑み助にはちょうど良い。
明るさを増さずに ずうっと70年。 
居酒屋源氏 1950年からずうっと営業中。期を同じくして 私もずうっと生存中だw 

こちらの息子さんとは「旧車」の縁で知り合いになっている。三代目となる日はやがてくる。それまで 自分も通わなきゃ マジ。











Commented by KS at 2013-04-12 23:50 x
懐かしい。今日、昼飯食いながら文横を話題にしたばかり。源氏も当然のごとく。シジミ汁の次は焼き海苔だったかどうかが焦点に。焼き海苔つまみに飲んでる女子グループを見て以来、暖簾をくぐっていないです。
Commented by tabi-syashin at 2013-04-13 20:44
へへっ 想いでそのままの話です
懐かしいでしょう?次回は居酒屋二代目の話でもするかぁ。。。
海苔で何杯飲めたんでしょうか? オジさん困りますよねw
by tabi-syashin | 2013-04-10 21:53 | a la carte | Comments(2)